疲れた人のセーブポイント

ジャンプ感想などなど

『チェンソーマン』『鬼滅の刃』ジャンプの明日

 プリキュアスマイルチャージ!!ということで多分3ヶ月ぶり位にブログ書く、スマイルプリキュア

 プリキュアももう16作目らしい。スタートゥインクルという名前からして、今は星々を股にかけたりするのかな。僕は1作目の『ふたりはプリキュア』も全く知らないプリキュアノータッチ勢なんだけど、物凄い推進力で突っ走って続いてる感じは好き。いつか僕が観る時には多分銀河を越えてると思う。つまりそれはプリキュアGT...??

 まあそんな感じで、長く続くモノは段々と形を変えるなりして適応していくのは必然で。それをジャンプで当てはめてみようというのが本題になる。んだけど、こんなこと書きたくなった理由はこれにある。

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 『チェンソーマン』だ。去年の冬から連載開始。『ファイアパンチ』の藤本タツキ先生の作品だってことで開始前から期待されまくってた本作品。読んだときぶっちゃけ衝撃を受けた。やってんなジャンプ様よと。てわけで今回はそこらへん少し書きたいなと思う。作品を貶す意図は全くないのでそこだけお願いします。ネタバレ多分有り。

 

 

 

 

 

 

 ちょっとおかしい『チェンソーマン

 

  まず何が衝撃的だったか。それはチェンソーマンがジャンプに載ったこと。それ自体が結構な異常事態だと思った。絵面も内容もジャンプに載るにはエグすぎる。マイルドに表すと、チェンソーで悪魔ぶった切って引きちぎって血がブシャー。復讐するぜ銃の悪魔!死なないで城之内!みたいな感じ。キャラを支える動機もネガティブなものが多い。

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 特にやばいのがデンジというキャラ。主人公。

 ジャンプの主人公、例えばルフィには「海賊王になる」、ナルトには「火影になる」みたいな

1つの大きな目標が定められることが多い。そういうものが明言されてなくても、悟空なら「強くなる」だし一護なら「仲間を守る→その為に強くなる」みたいに芯を貫く行動理念がある。各々で人気漫画の主人公も思い浮かべてみてほしい。多分何かしらはそういったものが用意されてると思う。

 でもデンジは?ポチタの復讐に燃えている?そういう風には見えない。そもそもポチタの心臓を受けてデンジは蘇り一心同体のようなものになった訳で、それでは復讐という言葉はしっくりこない。

 あるならば「普通の生活をする」こと。普通の飯を食い女とイチャイチャしながらゲームでもして生きていくこと。これがデンジの持つ目標だ。

 そう、デンジは+でも−でもなく0を追い求める主人公だ。これがやばい。だってこいつ目の前の欲望にめちゃくちゃ忠実で、抱きたい寝たい飯喰いたいの三大欲求だけで生きているような男なのだ。てかそれが行動理念になってる。そんなジャンプ主人公ありかよ。ダークヒーローと言えばそうなんだけど、なんともしっくりくる表現がない。

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 要は『チェンソーマン』の何がぶっ飛んでるかって、ジャンプの作ってきたあらゆる基盤を無視した作品を作ってそれを載っけてることだよ。友情努力勝利なんて鼻くそで、性欲食欲睡眠欲が正義だ!っていう高らかなる宣言。おまけに復讐。ダークネスのオンパレード。もはやジャンプへのアンチテーゼ的な発想から作られてるとしか思えないのだ。

 というのが、粗っぽくまとめた『チェンソーマン』でした。次は『鬼滅の刃』についてちょっと書く。

 

ジャンプ的な作品『鬼滅の刃

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  『鬼滅の刃』は本当にジャンプ漫画してる。友情努力勝利に則り、友と過ごし研鑽を積んで鬼を斬る。前に今のジャンプで最もジャンプ漫画してるのは『アクタージュ』だ!って話をしたけど、その次くらいにやってる。

 そこでちょっと面白いなと思うのが、炭治郎が復讐者なこと。家族を鬼に殺されて幸せな生活をぶっ壊されたからその報いとして鬼舞辻無惨を斬る、が動き出した理由。

 でも炭治郎はダークヒーローじゃない。彼は強きを挫き弱きを助ける真っ直ぐな少年だし、全ての鬼を憎んでいるわけでは決してないから。事実、妓夫太郎を倒した時などは彼らを優しく諭す一面さえ見せた。

 それに、彼の一番の目的は禰豆子を人間に戻すこと。その為に鬼を倒し続ける姿は、まさに王道ジャンプ主人公だ。また、その目的達成に近づくことが物語が進むことに直結してる。

 要は『鬼滅の刃』は炭治郎という主人公のひたすらなポジティブさと潔白さが推し進めている物語で、だからこそ王道ジャンプ漫画であれるのだ。

 ただ、最初に言った通り炭治郎は復讐者としての面も持つから、話にもキャラにも抑揚がついて面白くなってる。『鬼滅の刃』は圧倒的にジャンプ漫画だけど、明るくなりきらないのはここら辺が関係しているんだと思う。

 王道と呼ばれたモノの軌跡をなぞりつつ、同時に主人公に重い邪道性を課しているのだ。それが他作品との差別化にもなってる。

 ぶっちゃけ今のジャンプで1番面白い。吾峠呼世晴先生、神。

 

まとめ的な何か

 

  これまでの王道を辿る『鬼滅の刃』ですら、ただなぞるのではなく邪道性を孕む物語になっていて、それが今アニメ化もされて大人気になっている。そんなところにジャンプアンチとまで言える『チェンソーマン』が始まった。

 『チェンソーマン』の行く末は、誇張なしにこれからの週刊少年ジャンプの形を決めることにつながってると思う。これからどのように形を変えていくかを見る上でも、この作品を追っていくのは面白いんじゃないかな。